屋根を直す夫を見上げて、秋の空、下でえかきのつまは、祈っている。

母屋の屋根の角が一部落ちた。
業者に頼むにはお金がない。
それでもほっておけない状況、道路半分を落ちた屋根の残留で人にも車にも迷惑

筆を金槌に持ち替えて、屋根にのぼる。
トントン、と瓦を叩く音。
古民家の秋は、少し危なくて,あたたかい。
「昔のアルバイトが役に立つ」と言いながら、高いところで、黙々と瓦を並べていく。
私は下でただ見上げ、祈っている。
声をかけたくても、集中を切らすのが怖くて。
その背中を見ていると、少し若い頃の姿がよみがえる。

工事は一週間。
雨の日も風の日も、怒られっぱなしの私。
でも、仕上がった屋根は見事だった。
仕事中に話しかけると瞬間湯沸かし器の様に爆発するので、全部終わったら聞いてみることにしました。
安全のために、人や車、バイクが通るのを見張るえかきのつまに座布団二枚持って立つように指示された。
落下したときに座布団を下に投げる様にという行動にとは想像をしたが、どうしても理解ができませんでした。
間に合う?一瞬にして落下するだろうに、何処へかもわからない。
意味ワカメの絵描きの妻は娘にどういうことだろう?と聞いた。
多分どっかに引っかかっている間に座布団を敷く、???



古民家の屋根は、見た目以上に重くて手間がかかるもの。
若い頃に身につけた職人の技が、今こうして役に立っている。
https://tenki.jp/suppl/yukiya_sonoda/2022/09/22/31404.html
「絵も屋根も、バランスが大事や」
そう言って笑う夫に、
私は思わず、「落ちなかっただけで充分やわ」と返した。
古民家も、夫も、まだまだ現役。
私は今日も下から、ハラハラ見守る系。
そしてその姿を、またブログに描く。
屋根の上で汗を流す夫を見ていると、
昔、夜なべして絵を描いていた頃と変わらないと思いました。
筆が金槌に変わっても、手の動きはまるで同じ。
”好きなことをしながら生きる”ーーそれが、うちの人らしい。
つまが観察した目線、小川憲一豊実(おがわけんいちほうじつ)の日常
えかきは好きな時間に起きて朝はマテ茶片手にその日が始まります 光の入り方で「今日は描けそう」と思う瞬間もある 散歩中や畑仕事で見た雲から新しいアイデアが生…
小川(松ノ下)マリアイネス拝



