私の知らない午後

この写真を見ていると
不思議な気持ちになる。
左は
毛糸の帽子をかぶった
私の兄,優二。
右は
健裕叔父。
場所は桐原。
畑だったのか
野原だったのか。
二人はしゃがみこんで
羊羹をのぞき込んでいる。

叔父は微笑んでいるが、優二は恥ずかしいのか、不機嫌?カメラマンを睨んでいるような
東京から里帰りしていた
明久叔父が
お土産に持ってきた羊羹らしい。
兄は
それを開けようとしているのだろうか。
横で叔父も
一緒になって
のぞき込んでいる。
二人とも
とても真剣な顔だ。
このとき
私はまだうまれていない。
だからこれは
私の知らない午後である。
けれど写真を見ていると
なぜか遠い出来事のようには
思えない。
幼いころ
兄のことを考えるとき
「四歳の兄って
どんな子だったのだろう」
そんなことを
よく思っていた。
その答えが
この写真の中にある気がする。
羊羹の秘密を
一生懸命のぞいている
小さな兄。
私は
その午後を知らない。
けれど
こうして写真の中で
そっと会うことができる。

神戸にて
https://ekakinotsuma.com/yuuji-in-the-album/
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