私の知らない午後

 

https://donkenart.com/at-the-end-of-the-year-i-remember-my-father-on-his-30th-birthday-but-i-celebrated-it-on-new-years-eve/

この写真を見ていると

不思議な気持ちになる。

 

左は

毛糸の帽子をかぶった

私の兄,優二。

 

右は

健裕叔父。

 

場所は桐原。

畑だったのか

野原だったのか。

 

二人はしゃがみこんで

羊羹をのぞき込んでいる。

 

叔父は微笑んでいるが、優二は恥ずかしいのか、不機嫌?カメラマンを睨んでいるような

 

東京から里帰りしていた

明久叔父が

お土産に持ってきた羊羹らしい。

 

兄は

それを開けようとしているのだろうか。

 

横で叔父も

一緒になって

のぞき込んでいる。

 

二人とも

とても真剣な顔だ。

 

このとき

私はまだうまれていない。

 

だからこれは

私の知らない午後である。

 

けれど写真を見ていると

なぜか遠い出来事のようには

思えない。

 

幼いころ

兄のことを考えるとき

 

「四歳の兄って

どんな子だったのだろう」

 

そんなことを

よく思っていた。

 

その答えが

この写真の中にある気がする。

 

羊羹の秘密を

一生懸命のぞいている

小さな兄。

 

私は

その午後を知らない。

 

けれど

こうして写真の中で

そっと会うことができる。

 

神戸にて

 

 

https://ekakinotsuma.com/yuuji-in-the-album/

 

 

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投稿者

  • mary

    アルゼンチン生まれ育ちの日系二世の小川(松ノ下)マリアイネスです。

    19歳で、えかきの小川憲一豊実(おがわけんいちほうじつ)と結婚し、今年、金婚式を迎えました。

    会社勤めの方のご家庭とは違い、金銭的にはいろいろあった人生です。

    しあわせだったか、しあわせでなかったかは、あの世へ行く瞬間にしか分からない――と、母が言っていました。

    人それぞれ価値観は違いますが、私は自分ではしあわせだったと思っています。

    喧嘩を一度もしたことのないご夫婦もいらっしゃるでしょうが、私たちは毎日のように、京都育ちのえかきとは意見が合わず、その違いから議論になることも多々あります。

    そんな絵描きの妻ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

    “The Painter’s Wife”

    小川(松ノ下)マリアイネス 拝

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