金婚式を迎えて思う|「好きなところ」と聞かれて戸惑った話

「えかきの好きなところは?」

そう聞かれて、少し困ってしまいました。

金婚式を迎えたのだから、
嫌いではないのです。

 

けれど「好きなところ」と言われると、
照れくさいのもあるけれど、
すぐには思い浮かばない。

50年以上も一緒に暮らせば、
相手の良いところだけでなく、
嫌な面も、十分知ることになります。

 

もちろん、お互い様ですが。

 

「“好きなところ”は言えなくても、離れなかった理由はある。」

 

父を思い出して、
「あの人は穏やかでよく働いた」と言うと、
えかきは、少し面白くなさそうにする。

亡くなった父にまで、やきもちを焼くのかと、
私はおかしくなる。

50年たっても、
そんなところは子どものようです。

好きなところはすぐ言えなくても、
こういう可笑しさは、嫌いではない。

 

貧乏はしたけれど、
私の目には穏やかで、よく働く人でした。

つい比べてしまうと、
父のほうがよく見えてしまうこともある。

そんなことを思う自分に、
少し苦笑いします。

 

夫は、たぶん自分なりに筋が通っていて、
自分が正しいと思っている人です。

だから、戸惑っているのは
むしろ私のほうかもしれません。

 

アルゼンチン育ちの私と、
日本で育った夫。

 

物の見方や受け取り方が違って、
「なぜそうなるのだろう」と思うこともある。

 

けれど、その違いを抱えながら
50年も暮らしてきたのです。

 

夫は最近、
私が話すことの中に、
自分への非難を感じることがあるようで、
やりにくそうにしている気もします。

アルゼンチン育ちの私と、
日本で育った夫。

文化の違いなのか、性格なのか、
長い年月の積み重ねなのか。

わからないこともあります。

けれど思うのです。

 

若いころの恋愛の「好き」と、
今の「一緒にいる」は、
もう別のものなのかもしれないと。

好きかと聞かれて言葉に詰まっても、
50年隣にいるという事実そのものが、
一つの答えなのかもしれません。

 

どちらが先にこの世を去るのかわからない。

 

そう思う年齢になって、
夫婦とは何かを、
前より静かに考えるようになりました。

 

恋ではなく、
暮らしの中で育つ情のようなもの。

それを今、見つめています。

 

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夢は叶わなくても、しあわせな人生はある

投稿者

  • mary

    アルゼンチン生まれ育ちの日系二世の小川(松ノ下)マリアイネスです。
    19歳でえかきの小川憲一豊実(おがわけんいちほうじつ)と結婚して来年には金婚式を迎えます。お勤めの方たちの妻とは違いまして金銭的には色々あった人生です。しあわせだったか、しあわせでなかったかはあの世へ行く瞬間にしか分からないと母親がいってました。
    価値観は個々違いますが、自分ではしあわせだと思っております。
    喧嘩を一回もしたことのないご夫婦も存在しますが、私たちは毎日のように京都育ちのえかきとは意見は合わずその違いで議論になることは多々あります。
    このような絵描きの妻ですが、どうぞよろしくお願いします

    “The Painter’s Wife”

    小川(松ノ下)マリアイネス拝

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