なすことの多くを残して人は散るゆく

ある友人が以前、
「いつ死んでも後悔はしない」
と言っていた。
その言葉を聞くたびに、
私はすごい人だなあと感心していた。
その友人は若くして亡くなった。
アルゼンチンは日本から遠く、
最後のお別れにも立ち会うことができなかった。
人生の最後に何を思ったのか、
本当のところは誰にもわからない。
それでも時々ふと思い出す。
あの言葉は本心だったのだろうか、と。

人は感動し、笑い、夢を抱く。
そんなことができるのは人間ならではかもしれない。
夢とは、自分が実現したい未来や目標を心に描くこと。
多くの人が夢を持ち、
叶えたいと願いながら生きている。
そのための方法もたくさん語られている。
目標を立てること。
夢を具体的にすること。
ノートに書き出すこと。
期限を決めること。
毎日続けること。
成功した人から学ぶこと。
本を読むこと。
前向きに考えること。
困難をチャンスと捉えること。
迷ったら挑戦すること。
自分を信じること。
周囲の力を借りること。
やりたいことに向かって進むこと。
どれも間違ってはいないと思う。

「夢を持ち、叶わなくてもしあわせであれば人生最高だと思う。」
「人生は教科書どおりにはいかない。」

けれど人生は、
教科書どおりにはいかない。
一生懸命努力しても叶わない夢もある。
思い描いた通りにならないことも少なくない。
それでも私は思う。
夢が叶ったかどうかだけが、
人生の価値ではないのではないかと。
夢を持ち続けること。
挑戦し続けること。
喜びや悲しみを味わいながら生きること。
その過程そのものが人生なのだと思う。

人は誰でも、
なすべきことをすべて終えて旅立つわけではない。
やり残したことや、
叶わなかった夢を少し抱えながら人生を終えるのかもしれない。
それでも、
「ああ、幸せな人生だった」
そう思えたなら十分ではないだろうか。
正直なところ、
友人が言ったように
「いつ死んでも後悔はしない」
と私はまだ言い切れない。
もう少しやりたいことがある。
会いたい人もいる。
見たい景色もある。
だから今日もまた、
一日を大切に生きていこうと思う。




