アルゼンチンの高校卒業式——日本とはまるで違う、人生の節目のかたち

アルゼンチンの高校卒業は、
日本とはまったく違うものでした。
式が終わればそれで終わり、ではなく、
そのあとに続く時間の方が、むしろ本番のように感じられます。
夜になり、ドレスやスーツに身を包み、
家族や友人たちと一緒に集まる。
会場はにぎやかで、音楽が流れ、
笑い声とともに、特別な夜が始まります。
それは「お祝い」というよりも、
人生のひとつの区切りを、みんなでしっかりと味わう時間でした。
日本の卒業式は、どこか静かで、整っていて、
少しだけ名残惜しさを胸にしまうような印象があります。
けれどアルゼンチンでは、
その気持ちを外に出して、分かち合う。
喜びも、別れの寂しさも、
すべてをその場で表現するのです。
若い頃の私は、その違いに驚きながらも、
どこかでその温かさを強く感じていました。
人は、人生の節目をどのように迎えるのか。
それは国によってこんなにも違うのだと、
初めて実感した出来事のひとつです。
遠い国で過ごしたその時間は、
今でも心の中に静かに残っています。
そして、日本での暮らしの中で、
ふとした時に思い出すのです。
あの夜のにぎやかさと、
人と人が近くにいるあたたかさを。



