父と歩いた街、夫と歩く日常|重なる時間の中で思うこと

若い頃、父と街を歩くと、
まるで恋人同士のように見られることがありました。
少し誇らしくて、
少し照れくさい時間でした。
父は多くを語る人ではありませんでしたが、
その背中や歩く速さの中に、
安心のようなものを感じていた気がします。
あの頃は、それが特別なことだとは思っていませんでした。
ただ一緒に歩くことが、
当たり前のようにそこにありました。
やがて結婚して、
今度は夫と並んで歩くようになりました。
買い物に出かけたり、
何気ない日常を重ねたり。
若い頃のような照れはなくても、
静かで落ち着いた時間があります。
ふとした瞬間に、思うのです。
あの頃、父と歩いた時間が、
今の自分の中に、ちゃんと残っていることを。
そしてそれが、
今の夫との関係にも、
人は、過去を抱えながら生きていくのではなく、
過去に支えられて生きているのかもしれません。
今はもう会えない父のことを思いながら、
それでも続いていく日常の中で、
私は今日も、
大切な人と歩いています。


