競馬には興味がなかった私が、一冊の本と馬の記憶に出会った日

競馬は知らなくても、馬が教えてくれたこと

 

 

競馬には全然興味はない。

ある友人の話から、この本に興味を持った。

早速Amazonで注文をして、届くなり読み始めた。

競馬のことはさっぱりわからない私ですが、

馬のことが書かれていることもあり、一気に読んでしまった。

なぜだろう。

遠い昔、幼かったころ、父は白い馬を飼っていた。

どのくらい一緒に過ごしたのかは覚えていない。

それでも、馬とともにあった風景だけは、今も鮮やかに心に残っている。

 

 

開拓時代の思い出

機械を持っていなかった父は、馬に犂(すき)のような農具を引かせていた。

車もなかった時代、馬は大切な移動手段でもあった。

お酒が好きだった父は、友人の家で飲み過ぎてしまうこともあった。

それでも馬は、ちゃんと父を家まで連れて帰ってくれたという。

 

幼い私の記憶に強く残っているのは、「削蹄(さくてい)」の作業だ。

父が蹄(ひづめ)を削り、母が馬を支える。

馬は暴れるので、「痛いのだろう」と思っていた。

 

実は、馬の蹄は人間の爪と同じ角質でできているため、削っても痛みはないそうだ。

蹄を整えたあとには、蹄鉄(ていてつ)を釘で打ち付ける。

蹄がすり減るのを防ぎ、しっかりと地面を蹴るための大切な役割がある。

 

幼かった私は、「かわいそう」としか思えなかった。

蹄鉄を火で熱していたような記憶がある。

そして、釘を打つ。そのときの独特の匂いまで、今でも思い出せるような気がする。

 

 

 

三つ子の魂百まで

「三つ子の魂百まで」は、人間だけのことではないそうだ。

 

いいことも、嫌なことも、皮膚感覚で覚え込んだものは、

人間も馬も一生忘れないものになるという。

 

その言葉を読んだとき、幼いころに見た白い馬の姿が、ふと蘇った。

大学生のころ、ブエノスアイレス郊外でデートをした際に、

乗馬のできる場所へ行ったことがある。

 

ところが、その馬は私の言うことをまったく聞いてくれなかった。

どうやら、なめられていたらしい。

 

 

 

北海道で出会った優駿たち

北海道を旅行した折、「道の駅 サラブレッドロード新冠(にいかっぷ)」で車中泊をしたことがある。

朝起きて驚いた。

活躍した名馬たちの優駿の碑がたくさん並んでいたのだ。

 

競馬ファンにとっては宝物のような場所なのだろう。

競馬とは縁のない私ですら、一つひとつ写真を撮りながら、その姿を楽しんだ。

 

アルゼンチンで生まれ育った私にとって、

牧場に牛や馬がいる風景はごく当たり前のものだった。

 

ブエノスアイレスから20時間かけて故郷へ帰る道の両側には、

何百キロにもわたって懐かしい風景が広がっていた。

 

北海道の雄大さは、どこかアルゼンチンを思い出させる。

だから、何度でも行きたくなるのかもしれない。

やはり、郷は懐かしい。

 

 

 

馬を育てること、人を育てること

人は、どのような縁によって人生を歩むのだろう。

この本を読んでいて、そんなことを考えた。

 

馬を育成することは、もしかすると絵描きの仕事にも似ているのかもしれない。

 

どちらも時間をかけて、その命や個性と向き合う仕事だからだ。

 

 

競馬についてはまったくの素人だが、最後にマニエルさんの言葉を記したい。

馬はジャズやがな!といった岩尾マニエル|祖母が競馬好きだったせいで育成牧場を経営

「人それぞれ、名馬のイメージを抱いている。ご存知の方は少ないだろうが、長居の競馬場で走っていたタカライチバンが、私にとっての『最高の名馬』であることに変わりないのである。」

競馬はわからなくても、馬は忘れられない。

幼い日の白い馬も、私にとっての名馬なのである。

 

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投稿者

  • mary

    アルゼンチン生まれ育ちの日系二世の小川(松ノ下)マリアイネスです。
    19歳でえかきの小川憲一豊実(おがわけんいちほうじつ)と結婚して来年には金婚式を迎えます。お勤めの方たちの妻とは違いまして金銭的には色々あった人生です。しあわせだったか、しあわせでなかったかはあの世へ行く瞬間にしか分からないと母親がいってました。
    価値観は個々違いますが、自分ではしあわせだと思っております。
    喧嘩を一回もしたことのないご夫婦も存在しますが、私たちは毎日のように京都育ちのえかきとは意見は合わずその違いで議論になることは多々あります。
    このような絵描きの妻ですが、どうぞよろしくお願いします

    “The Painter’s Wife”

    小川(松ノ下)マリアイネス拝

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