48年一緒にいるのに、まだわからない——えかきの絵と、夫婦のあいだの余白

 

 

結婚して48年になります。

 

こんなに長く一緒にいるのに、

いまだにわからないことがあります。

 

それは、えかきの描く絵のことです。

 

「これはどういう意味?」

そう聞くと、少し不機嫌そうにこう言います。

 

「余白や」

 

正直に言うと、

その「余白」が、よくわかりません。

 

何も描いていないところのことなのか、

それとも、もっと別の意味があるのか。

 

わからないから聞いているのに、

えかきは少し怒ったように言います。

 

「俺の絵は余白だらけや」

 

 

背景を塗っていても、いなくても、

余白は余白なんだ、と。

 

 

その言葉を聞きながら、

私はますますわからなくなります。

 

 

けれど最近、少しだけ思うのです。

 

 

もしかすると、

この「わからなさ」そのものが、

大事なのかもしれないと。

 

 

全部わかってしまったら、

きっと面白くない。

 

 

全部説明できてしまったら、

それはもう、絵ではなくなるのかもしれません。

 

 

長く一緒にいる夫婦でも、

全部わかることはない。

 

 

むしろ、

わからない部分があるからこそ、

こうして話が続くのかもしれません。

 

 

えかきの絵の余白と、

私たちのあいだにある余白。

 

 

それはきっと、

似ているものなのだと思います。

 

👉

  • 結婚まとめ記事(今回SNSで使う記事)

 

夫婦の話をもう少し読む

 

  • 「しあわせといきかたの10の話」

 

 

 

 

投稿者

  • mary

    アルゼンチン生まれ育ちの日系二世の小川(松ノ下)マリアイネスです。

    19歳で、えかきの小川憲一豊実(おがわけんいちほうじつ)と結婚し、今年、金婚式を迎えました。

    会社勤めの方のご家庭とは違い、金銭的にはいろいろあった人生です。

    しあわせだったか、しあわせでなかったかは、あの世へ行く瞬間にしか分からない――と、母が言っていました。

    人それぞれ価値観は違いますが、私は自分ではしあわせだったと思っています。

    喧嘩を一度もしたことのないご夫婦もいらっしゃるでしょうが、私たちは毎日のように、京都育ちのえかきとは意見が合わず、その違いから議論になることも多々あります。

    そんな絵描きの妻ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

    “The Painter’s Wife”

    小川(松ノ下)マリアイネス 拝

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