「嘘じゃろう」と言われるたびに|肖像画と“本物”の私の話

 

個展や家に来てくださったお客様が、
壁に掛かった私の肖像画を見て、

よく足を止められます。

 

「これ、奥さんですか?」

 

そう聞かれて、実際の私を見ると――

 

「嘘じゃろう…」

 

思わず、そうつぶやかれることがあるのです。

 

絵の中の私は、少し若く、少し美しく、

どこか気品まであるように描かれている。

 

それを見たあと、今の私を見ると
驚かれるのでしょう。

 

けれどその場で、えかきは平然として言います。

 

「失礼なことを。きれいに描けますから。」

 

その言い方がおかしくて、
お客様も私も笑ってしまう。

 

でも私は思うのです。

 

これは、ただ美化しているのではなく、
えかきには、私がこう見えているのかもしれないと。

 

長年連れ添った人が描く肖像には、
皺や年齢ではなく、
その人へのまなざしまで入ってしまう。

 

だから「嘘じゃろう」は、
じつは褒め言葉なのかもしれません。

 

笑い話みたいでいて、
少し愛情のある話です。

 

画家と暮らしていると、
こんなことが、たまに起こります。

 

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投稿者

  • mary

    アルゼンチン生まれ育ちの日系二世の小川(松ノ下)マリアイネスです。
    19歳でえかきの小川憲一豊実(おがわけんいちほうじつ)と結婚して来年には金婚式を迎えます。お勤めの方たちの妻とは違いまして金銭的には色々あった人生です。しあわせだったか、しあわせでなかったかはあの世へ行く瞬間にしか分からないと母親がいってました。
    価値観は個々違いますが、自分ではしあわせだと思っております。
    喧嘩を一回もしたことのないご夫婦も存在しますが、私たちは毎日のように京都育ちのえかきとは意見は合わずその違いで議論になることは多々あります。
    このような絵描きの妻ですが、どうぞよろしくお願いします

    “The Painter’s Wife”

    小川(松ノ下)マリアイネス拝

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