アルゼンチンで育って思うこと|警察が怖かったあの頃と、今の私

アルゼンチンで生まれ育った私には、
「警察=安心」というイメージは、あまりありませんでした。

むしろ、どこか緊張を伴う存在でした。

銀行で働いていた頃、
建物の中には、もう一つ小さな部屋のような場所があり、
そこに警察官が常駐していました。

機関銃を持って、じっと周囲を見ている姿。

守られているはずなのに、
どこか張りつめた空気が流れていたのを覚えています。

家の中でも、防衛のために銃を持つことは珍しくありませんでした。

枕の下にある銃の存在に、
若い私は、言葉にできない怖さを感じていました。

あの頃は、それが「普通」だったのです。

軍事政権の時代、
バスに乗っていると、
パトカーが犯人を追う光景に出会うこともありました。

日常の中に、どこか非日常が混ざっているような感覚。

それが、あの国での暮らしでした。

もちろん、すべてが危険だったわけではありません。

郷(地方)では、そこまでの緊張感はなく、
穏やかな時間もたくさんありました。

だからこそ思うのです。

人の感じる「当たり前」は、
生まれた場所や時代で、こんなにも違うのだと。

今、日本で暮らしていて、
ふとした安心に気づくことがあります。

それは、当たり前ではなかったもの。

遠い記憶の中にある緊張と、
今の静けさを比べながら、

私は今日も、
この日常を大切に生きています。

 

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投稿者

  • mary

    アルゼンチン生まれ育ちの日系二世の小川(松ノ下)マリアイネスです。

    19歳で、えかきの小川憲一豊実(おがわけんいちほうじつ)と結婚し、今年、金婚式を迎えました。

    会社勤めの方のご家庭とは違い、金銭的にはいろいろあった人生です。

    しあわせだったか、しあわせでなかったかは、あの世へ行く瞬間にしか分からない――と、母が言っていました。

    人それぞれ価値観は違いますが、私は自分ではしあわせだったと思っています。

    喧嘩を一度もしたことのないご夫婦もいらっしゃるでしょうが、私たちは毎日のように、京都育ちのえかきとは意見が合わず、その違いから議論になることも多々あります。

    そんな絵描きの妻ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

    “The Painter’s Wife”

    小川(松ノ下)マリアイネス 拝

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